今回はサラブレッドの三大始祖に関して、自分自身の勉強も兼ねて情報をまとめてみようかと思います。
現在の全てのサラブレッド(英語でThoroughbred、フランス語でPur-sang、thorough[徹底的な]+bred[品種改良されたもの]という意味。JRAによる説明はこちら)とされる馬たちは、その父系(サイアーライン)を遡ると必ず3頭の種牡馬(バイアリーターク、ダーレーアラビアン、ゴドルフィンアラビアン)に行き着くことになります。この3頭のことを「三大始祖」と呼んだりするわけです。もちろんこれ以外にも父系は数多く存在したわけですが、現在ではこの3つ以外は断絶しています。
1688年、イギリスのロバート・バイアリー大尉はハンガリーに侵攻し、当時ヨーロッパの脅威となっていたオスマン・トルコに義勇兵を率いて参戦しました。彼はここで1頭のターク馬(つまりトルコ馬)を捕獲します。大尉はスピードに溢れたこの馬で戦場を駆け巡ったが、戦乱が終結すると故郷へ帰り、この優れたターク馬を種牡馬としました。この馬がバイアリータークと呼ばれることになります。バイアリータークの血はヘロド(1758-1780)の成功により広まることになります。
ダーレーアラビアンは18世紀初頭に「最高の評価を得た」アラブ馬としてイギリスに輸入、ダーレー一族の牧場で養われ、種牡馬として供用されました。ダーレーアラビアンの血は、歴史的名馬エクリプス(1764-1789)の成功によって広まることとなります。このエクリプスは、アメリカの年度代表馬に与えられるエクリプス賞、イギリスのエクリプスステークスなどに名を残しています。
最後にゴドルフィンアラビアンです。1728年に生まれたイエメンの純血アラブ系の馬で、当初はシャムと呼ばれていたそうです。やがてフランス王ルイ15世に贈られ、1733年に最終的にイギリスのゴドルフィン伯爵の手に渡ることとなりました。ゴドルフィンアラビアンの血脈は18世紀の大種牡馬マッチェム(1748-1781)の活躍よって今日に伝えられています。
このように三大始祖の血脈は今日まで続いているわけです。今回は本村凌二先生の『競馬の世界史ーサラブレッド誕生から21世紀の凱旋門賞まで』を参考にさせていただきました。面白い本なのでぜひ読んでみてください。ちなみに本村先生は東京大学で教授をされていた古代ローマ史研究者で競馬好きとしても知られている方です。
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